思い出
先日、高校の男女混合友達グループでZoom飲み会をした。(お酒弱いから飲んではない)
12人中11人というなかなかの集まりの良さで、なんだかんだで4時間近く喋った。
このグループは、体育祭で「1年男子が女装して踊る種目」のスタッフだった人たちだ。
字面からしてめちゃくちゃネタ臭いが、実は相当手の込んだ企画だ。
体育祭が終わるとすぐ次年度のスタッフが決められ、テーマ、曲、振り付け、衣装、劇を考えていく。その後、本番の3ヵ月以上前から昼休みに練習を開始し、夏休みも練習がある。ポジション決めのオーディションまで行われる。
当日は手作りの衣装を着て、女子によりメイクが施される。人によっては前日にすね毛も全部剃る。あれ普通に1時間ぐらいかかるんだよな。
これだけ時間と労力をかけた種目だから、いつのまにか組全体で一体感が生まれ、終わった後感動して普通に泣く。ただ女装して踊ってるだけなのに、だ。
何よりこの種目は配点が高く、組の総合順位に直結する。外から見るとおかしな話でも、当人たちは本気で1位を狙っているのだ。
とはいえ女装という時点でなんかアレだし、女子に衣装づくりをしてもらっていたり、スタッフの決め方からしてもカーストの温床みたいな場所だった。今はシステムが少し変わっているかもしれない。
さて、自分が1年生の時、メインのポジションをオーディションで勝ち取った。先輩たちとも仲良くなり、結構楽しく本番を迎えた。
しかし、結果は4組中4位。他の組とのクオリティの差は歴然だった。
体育祭終了後、12人のスタッフをまとめるチーフに指名された。めちゃくちゃリベンジに燃えていたので、敗因と勝つための施策を徹底的に研究した。
まず、このような発表の場では「演者」と「観客」の間には相当なギャップがある。「演者」が裏でどれだけ時間をかけ、衝突し、舞台を創り上げていようとも、「観客」にとっては一瞬でしかない。そのことは吹奏楽部で痛感していた。
だから、いかに「テーマ」や「構成」を工夫して観客を引き付けられるかが勝負だ。これらを決めるのは最初なので、スタートで間違えないように納得がいくまで話し合いをした。一度大枠を決めてしまうと、簡単には後戻りできない。
だからといって細かいところは無視できるかというと、そんなことはない。舞台転換でもたついたり、動きが揃っていなかったりすると、せっかくのステージに集中できなくなってしまう。
そこで、特に構成を工夫し、ダンスと合間に挟む劇との境界をできるだけなくした。さらに、できるだけ動きが揃って見えるように、振りや陣形にこだわった。
勝ちを確信したのは、初めて他の組に発表をちゃんと見られる機会となる、本番前日のリハーサルだ。他の組が「おいこれ作ったの誰だよ~~~」と悔しそうにしていたのが今でも忘れられない。先輩たちも、本番ではないのにボロ泣きしていた。
そして本番、始まってすぐ色々フラッシュバックしてボロ泣きした。特にミスもなく乗り切り、結果は堂々の1位だった。努力が報われた瞬間だった。
まるで自分の功績かのように語ってきたが、他のスタッフにはものすごく助けられた。どうしてもキャパオーバーになってしまった時に、音響に強い友人に劇の音源作りを依頼したら、軽くイメージ以上のものが返ってきて驚いた。衣装や劇指導の担当も、多くを言わずとも想像を超えるクオリティのものを見せてくれた。周囲を頼ること、大事。
こんな感じで学びが多かった思い出なのだが、外から見たらどう見てもゲテモノ企画なのが玉にきずだ。面接とかでいきなり「男子が女装してダンスする種目で......」なんて言い出したらドン引きされるからな。
【今日の一曲】
疾走する閃光/fox capture plan
高校時代よく行っていたヴィレヴァンでいつも流れていた曲。こういう耳に残る音楽でも、ピアノトリオだからか心地よく感じる。
最近は「カルテット」とか「コンフィデンスマンJP」とかの劇中音楽も作っているらしい。ジャンル全然違うのにすげえな。
コンフィデンスマンJPはドラマも前作の映画も面白かったので、新作が公開されたら観に行くと思う。東出出てるけど...